息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

私の望み

もう起きなあかんで

って起こしてあげたい


車に気を付けてね

って見送りたい


おかえり~

って迎えてほしい


呼んだら

なに~?呼んだ?

って来てほしい


散髪したら

かっこいいやん

って言いたい


今終わった~

ってLINEを送ってきてほしい


すぐ行くわ

って迎えに行きたい


今日の晩めし何?

って聞いてほしい


うまいわ、これ

って食べる姿を見たい


いっしょにテレビを見て笑いたい


ゆっくり話がしたい




母さん


って呼ばれたい





愛してるよ


と伝えたい

息子の存在

息子宛てにはがきが来ていた。

赤十字血液センターから。


息子は

「僕にもでも役に立てることがあるんやったら」

と献血をしていた。



ポストを開けて息子の名前を見た時は、複雑な気分だった。

今は目にすることのない名前を見つけて一瞬嬉しくなったけど、すぐに現実に引き戻された。

もういないんだ

と。


亡くなったことをわざわざ知らせる気にもなれないし、これからもまだはがきは送られて来るのかも知れない。

その時も息子がいないことを実感させられて落ち込むだろう。

それでもいい。

息子の存在が何も感じられなくなってしまうよりは。

笑えない

アメリカのある一家が、ハロウィンのデコレーションとして、玄関先に死体に見せかけた血まみれの人形を置いていたら、あまりにもリアルすぎて隣人が本物だと勘違いして警察に通報してしまった。

その人形を見て、恐怖のあまり泣き叫ぶ子供や、驚いて気を失ってしまった人もいた。



いくらお祭りだとはいえやりすぎだ。

悪趣味すぎる。

そんなことをして何が楽しいのか。





地面に横たわる血まみれの人形。




あの日の息子の姿と重なる。




笑えるわけがない。