息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

自分の姿

スーパーで買い物をして
レジでお金を払う時
ふと横を見たら向こう側に鏡があった。
そこには自分の姿が映っていた。


背中が丸まってしまっていて
みっともない姿。


いつも人目を避けて
見たくないものは見ないように
うつむき加減に歩いているから
そんなふうになってしまう。


こんなんじゃだめだなと思って
背筋を伸ばして歩いてみた。
伸びた背中が気持ちいい。



けど



道路を挟んで向こう側を歩く男の子。
背格好が
歩く姿が
息子によく似ている。


目で追って


見なきゃいいのに


まだ追って


涙が出てきて


落ち込んで


またうつむいてしまう。




息子を求めて
時々は空を見上げても


胸を張って


前を向いて


なんて


やっぱり無理。



無理だけど


なんとか歩んで行けてるから


それでもいい。

バージンロード

娘が
「バージーロードやねんけど、どうする?お母さんいっしょに歩く?
目立つのがいややとか恥ずかしいんやったら、彼とふたりでっていう手もあるし。
お色直しで中座する時のエスコート役も普通はお母さんやから、両方やってもらうことになるかも知れんけど、それは友だちに頼むってこともできるし」
と言ってきた。


一般的にはバージンロードというのは父親と歩くものだけど、夫は亡くなっていていないから、娘は父親と歩くことはできない。


私は、歩いてみたいような恥ずかしいような、でも、みんなは娘に注目して私のことなんて誰も見ないだろうからやってみてもいいかな~とか考えていたら、娘が言った。


「○○(息子の名前)がおったら、○○といっしょに歩くこともできてんけど」


涙が一気に溢れ出た。


普段は娘の前では泣かないようにしていたけど、この時ばかりは涙を止めることができなかった。




この会話のあと、息子が照れながら娘とバージンロードを歩く姿を何度も想像しては泣いている。






息子が生きていてくれたら。



生きていてほしかった。








クリスマスツリー

今、テレビのCM でも、外でも

クリスマスモード一色。


以前は、店やあっちこっちの

きれいなツリーや飾りを見ると

なんとなくワクワクしたり

売られているオーナメントなんかを

「かわいい!」と手に取って見たりしていたけど

今は、その華やかな雰囲気には近寄れない。


二年前の

息子を亡くして初めてのクリスマスには

家で毎年飾っていたツリーを

出す気にはなれなかった。

もうツリーを飾るのはやめようと思った。


けど、娘のことを考えると

娘には普段通りに過ごしてほしかったから

いつも通りにツリーを出すことにした。


今年もツリーは飾る。


たぶん今年が最後。


来年からは飾らない。


春に娘が結婚したら、そのあとは私ひとり。
ツリーなんか必要ない。


でもチキンとケーキだけは用意するかな。

息子が好きだったから。

それを息子といっしょに

いっしょに食べよう。