息子の名前
マンションの駐車場に停めている私の車の上には、大きな桜の木がある。
朝、車を見たら、おもに車の前の方あっちこちに4~5個のカラスの糞がこびりついている。
前日にも乗って、一晩停めていただけなのに。
それが何日も続いている。
カラスだから、糞もデカい。
カピカピに乾いた糞にスプレーをかけてしばらく置いてから拭き取る。
それを毎日乗る前に汗だくになりながらやっている。
なんでこうも毎日4つも5つもの糞を。
どう考えてもカラスの嫌がらせにしか思えない。
空を見上げ、息子の名前を呼び
「お願い、カラスに糞を落とすのをやめさせて
お願い!」
と頼んだ。
その翌日から、カラスの糞攻撃はなくなった。
息子が私の頼みを聞いてくれた。
ありがとう。
何度も何度も息子にお礼を言った。
私は息子の名前を一日に何回呼んでいるだろうか。
不安な時や落ち着かない時には、心の中で念仏のように息子の名前を繰り返す。
息子は
うるさいな、何回呼ぶねん
と思っているだろうか。
それとも、
そんな呼びかけにいちいち反応してられん
と、スルーしているのだろうか。
ほんとにバカみたいに何度も名前を呼ぶから、スルーしてくれていい。
たまにお願いした時に聞いてくれたら、それでいい。
毎日、寂しい。
毎日、会いたい。