バージンロード
娘が
「バージーロードやねんけど、どうする?お母さんいっしょに歩く?
目立つのがいややとか恥ずかしいんやったら、彼とふたりでっていう手もあるし。
お色直しで中座する時のエスコート役も普通はお母さんやから、両方やってもらうことになるかも知れんけど、それは友だちに頼むってこともできるし」
と言ってきた。
一般的にはバージンロードというのは父親と歩くものだけど、夫は亡くなっていていないから、娘は父親と歩くことはできない。
私は、歩いてみたいような恥ずかしいような、でも、みんなは娘に注目して私のことなんて誰も見ないだろうからやってみてもいいかな~とか考えていたら、娘が言った。
「○○(息子の名前)がおったら、○○といっしょに歩くこともできてんけど」
涙が一気に溢れ出た。
普段は娘の前では泣かないようにしていたけど、この時ばかりは涙を止めることができなかった。
この会話のあと、息子が照れながら娘とバージンロードを歩く姿を何度も想像しては泣いている。
息子が生きていてくれたら。
生きていてほしかった。