息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

自己嫌悪

来年の4月に結婚が決まった娘。
相手の御両親との顔合わせのためホテルで食事会を、彼と御両親、娘と私の5人でやった。


御両親はとても優しくて、特にお父様は始終ニコニコしていて、その笑顔を見ていると心癒される気がした。
あちらには、上から、男、男、男、女と息子さんが3人、娘さんが1人いて、彼は次男にあたる。
みんな家を出ており、御夫婦二人で暮らしているのだけど、見ているだけで仲がいいのがよくわかる。


お母様が、息子さんがたまに帰って来てもずっと自分の部屋にいてご飯の時にしか顔を見せないとか、メールを送っても返事が返ってこないとか文句を言いながらも、横にいる彼を見ながら顔はとても嬉しそうにしている。
私もずっと笑顔で聞いてはいたけど、心では息子を思って泣いていた。
やっぱり幸せそうな家族を見るのは辛い。
辛かったけど、この場では暗い顔をしてはダメだと頑張って笑顔でいた。


最後に、娘は御両親と電話番号の交換をした。
その姿を見ながら、娘はもうあっちの家族になってしまうのだなと、無性に寂しくなった。
だからといって私の娘ではなくなるわけではないし、あちらは京都でこっちは神戸で、娘は結婚してもなるべく私の近くに住みたいと言ってくれている。
でも、私の人生はもう終わりにしたい、すぐにでも息子に迎えに来てほしいって思った。



ここのところ週末は、ずっと娘の用事に付き合って出かけていた。
しばらくはそれもなさそうなので、娘に
「もう私も用無しかな。もういらんな。」
なんて嫌味を言ったら、無言で頭を1発殴られた。


わかってる、まだまだ娘のために生きなきゃならないってことは。
わかってる。
ちゃんとわかってるけど。



自分が嫌い。
娘に嫌味を言ってしまう自分が嫌い。
息子を旅立たせてしまった自分が大嫌い。



夜、布団に入ってから思いっきり泣いた。
疲れているはずなのに、涙が止まらなくて眠れなかった。





会いたい。


早く会いたい。



誰かに頼られること

昨日、娘とふたりでウエディングドレスを見に行った。


ずらーっと並んだ色とりどりのドレスはどれもきれいで、見ているだけでもウキウキする。


華やかに見えるドレスでも、実際に着てみるとパッとしなかったり、あまり似合わなかったりする。
娘は、色も形もそれぞれ違うのを7着試着して、その中から2着を選んでキープした。


次の土曜日にもまた別の店に、今度は彼とふたりで見に行くことになっていた。


今日、彼に昨日来たドレスをスマホで撮ったのを見せたら、どれを見ても
「ええやん」
という反応だったらしい。
男の人の反応ってそんなものなんだろうなとは思うけど、娘は今度見に行った時にも、どれを着てもそんな反応だったら困ると思ったらしく、また私にいっしょに行ってほしいと頼んできた。


娘と出かけることも、ドレスを見に行くのも楽しいのだけと、何より娘に頼られたことが嬉しかった。




息子にとっては、私は頼りにならない母親であったんだと、ずっとそう思っていたから。
今もそう思っているし、一生その思いは消えることはないのだろう。




だから、どんな些細なことでも娘に頼られると嬉しくなる。

息子に会えなくなってからの辛くて苦しい2年4ヶ月を生きていてよかったと、そう思えた。




心配

昨夜のテレビ「しくじり先生」で、北村弁護士が 「痴漢冤罪で有罪になるのを回避するための授業」というのをやっていた。


電車やバスだけでなく、ただ夜道を歩いていただけで痴漢の容疑をかけられてしまうこともあるらしい。

何もしていなくても、痴漢で起訴されたら有罪になる確率は99%になるそうだ。


それを見ながらふと思い出した。


以前、痴漢冤罪のニュースを見た時に

「満員電車とかで痴漢に間違われないように気を付けた方がいいよ」

と、息子に言ったことがある。


「手をなるべく上の方で腕組みして立つようにしてるから大丈夫やで」

って答えていたけど。


いつ、どこで、どんなことに巻き込まれるかわからない。

それが心配で。



もうそんな心配をする必要もないんだと思うと、急に悲しみがこみ上げてきた。






息子は本当に今、あっちの世界で幸せなのだろうか。



そんな心配も無用なのかな。