息子の存在
息子宛てにはがきが来ていた。
赤十字血液センターから。
息子は
「僕にもでも役に立てることがあるんやったら」
と献血をしていた。
ポストを開けて息子の名前を見た時は、複雑な気分だった。
今は目にすることのない名前を見つけて一瞬嬉しくなったけど、すぐに現実に引き戻された。
もういないんだ
と。
亡くなったことをわざわざ知らせる気にもなれないし、これからもまだはがきは送られて来るのかも知れない。
その時も息子がいないことを実感させられて落ち込むだろう。
それでもいい。
息子の存在が何も感じられなくなってしまうよりは。