息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

息子のほっぺた

ひんやりとした冬の空気を感じると
あの日の息子の
冷たいほっぺたの感触を思い出す。


ただ眠っているだけにしか
見えなかった息子の顔。


私の頬を息子のほっぺたに
ぴったりとくっつけていても
何度も何度も手でなでても
ずっと冷たいまま。



あの時
もっと息子の名前を呼び続けて
もっとほっぺたを温め続けていたら
目を覚ましてくれたのかな。



寒さが心にもしみて
よけいに辛く感じる。

会えない

息子と同じぐらいの子が歩いている
つい見てしまう


息子と同じぐらいの子が
自転車で走り抜けて行く
それを目で追う


息子であるはずがないのに


似てもいないのに



あれが
息子だったらいいな


息子だといいのに




今日も会えないね


こんなにも会いたいのに


明日も
明後日も


ずっと
会いたい

眠れなくても

夜に眠れないことがある。


眠いはずなのに、布団に入ってもなかなか寝付けなくて、寝返りばかり打っているのもしんどいので、布団の上に座っている。
息子を思い涙を流し、暗闇の中でぼーっとしている。
そのまましばらく放心状態のままでいたら、眠くなってきて横になって眠りにつく。


そんな日もあれば、どうしようもなく大泣きしてしまうこともある。


いろんな思いが一気にこみ上げてきて、号泣したくても、別の部屋で寝ている娘に聞こえてしまうからできずに、口を押さえながら泣く。
苦しくてたまらなくて、誰かにすがりたくなる。
この気持ちをわかり合える誰かに。
しばらく泣いて泣いて、少し落ち着いた頃に布団に横になる。
そしたらまた涙が溢れてくる。
再び、声を上げずに号泣。
そんなことを繰り返して、一時間ほどしか眠れずに目覚ましに起こされる。


そんなことがたまにある。


眠れなくても、そんなに辛いとは感じない。
毎日のことではないし、たとえ睡眠不足が原因で寿命が縮まることがあったとしても、それはそれでもいいと思える。
息子へ続く道が、少しでも短くなるのならば。