娘の誕生日
今日は娘の28歳の誕生日。
誕生日には、毎年りんごのケーキを作る。
下半分をちょっと硬め、上半分を柔らかめの2層の生地にして、その中にりんごを3個ぎっしり敷き詰めて焼くだけの簡単なケーキ。
私が作るケーキの中では、このケーキが娘も息子も一番好きで、誕生日にはいつもリクエストされる。
娘の誕生日に、このケーキをみんなで分けて食べるのだけど、息子はいつも、本当はもっと食べたいのに遠慮してあまり食べない。
これは、姉ちゃんのお誕生日のケーキやから
と。
大好きなケーキを、姉のことを想って我慢して食べずにいる心優しい息子のために、私は2、3日してからもう一度同じケーキを焼く。
これはいっぱい食べていいからね。
それを、喜んで嬉しそうに食べる息子を見るのが好きだった。
その姿を、もう二度と見ることはできない。
ケーキを二回続けて焼くこともない。
いつも息子のためにしていたことが、息子にしてあげたいことが、ひとつひとつなくなっていく。
悲しい。
今日は娘の誕生日。
笑顔で祝ってあげよう。
28年前の今日、無事に生まれてきてくれたことに
母親に私を選んでくれたことに
これからも生きていける力を
生きていく希望を
今私に与えてくれていることに
心から感謝して。