息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

母親失格

息子が亡くなってすぐの頃、泣いてばかりで何もできず、ただなんとなくボーっと携帯をいじってて、

子どもに自殺された親

だったかそんな言葉を検索サイトで検索してたら、飛び込んできた言葉が



子育てにおける最大の失敗は自殺である



子どもが自殺しようとする前に親に打ち明けることができる、そういう親子関係が築けなかった親に責任がある



突然頭を殴られたようなショックを受けて、思いっきり声をあげて号泣してしまった。


息子が生まれてからのことをいろいろ思い出し、

あの時、あんなことを言わなければよかった

あんなことをしなければよかった

もっとやさしくしてあげればよかった

後悔ばかり。


私の育て方が間違ってたのだろうか。

私と息子の間に親子の絆はなかったのだろうか。

私のもとに生まれてこなければ、

私が母親じゃなかったら、

息子はもっと幸せだったのかも知れない。

理由

彼女ができた時、息子はすぐに私に打ち明けてくれた。

照れ臭そうに話す息子を見て、私はとても嬉しかった。

その彼女とは、ずっと友だちとして付き合っていて、彼女の方から

「好きになったから付き合ってほしい」

と言われたらしい。

バイトが終わったあとの電話でそう言われ、帰って来てすぐに私に話してくれた。

よっぽど嬉しかったんだろうな。


そのあとも彼女とのことはいろいろ話してくれた。

「今日は手をつないだよ」

とか。

写真も、いっしょに撮ったプリクラも見せてくれた。


「どうして僕なんかのことを好きになってくれたのか、不思議でしょうがない」

とも言っていた。

息子は、どうせ僕なんか・・・と、何でもネガティブに考えてしまうところがあったから。


時々息子は、私の頭をくしゃくしゃと撫でることがあった。

いつだったかいつものように頭を撫でる息子の手を、頭痛がして気分が悪かった私は払い除けてしまった。

息子は

「彼女は僕に頭を撫でられるのが好きやで」

と言った。

頭痛のせいもあって、

「彼女が喜ぶからって私も喜ぶとは限らへんわ!」

イラつき気味に言ってしまった。

あの時、息子の手を払い除けたりせずにずっとずっとず~っと撫でてもらえばよかった。



亡くなる前日に、息子は彼女から別れを告げられた。

そのショックが大きすぎて、息子は発作的に自ら死を選んでしまった。


彼女から別れを告げられなければ


彼女と付き合ったりしなかったら


彼女と出会わなかったら


息子は今私のそばにいたのだろうか。


息子の心が弱かった故のことではあるけど、どうしてもそう思わずにはいられない。

息子が逝った日

ゴールデンウィークの最終日に、息子は彼女と会う約束をしていた。

私は仕事でいなかったけど、あとで娘に聞いた話によると、息子はお昼前に嬉しそうに出かけて行ったらしい。


その日の夜12時前に息子からLINEが来た。

「友だちとカラオケ行ってるんでちょっと遅くなる」

その友だちというのは幼稚園からの親友。

私は眠かったけど、息子が帰って来るまで起きていたかったのでテレビを見てたが、そのまま眠ってしまった。


「ただいま」

という声に起こされ、時計を見たら3時前だった。

それから布団に入った。


翌日は仕事は休みで、母と買い物に行く予定だった。

お昼前に大学に行く息子のために、朝食兼昼食を用意し、出かける前に息子を起こした。

私が出る時に息子はいつものように玄関で見送ってくれた。

手を振って

「いってらっしゃい」

と。

それが息子の最期の姿となった。

そのすぐあと息子は逝ってしまった。



その日は息子の21歳の誕生日だった。