息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

ぬいぐるみ

息子のお気に入りだったいつも履いていたズボンで、くまのぬいぐるみを作った。


これもお気に入りで一番よく着ていたTシャツで服も縫って、ぬいぐるみに着せた。


出来上がったぬいぐるみは、頭の先から足の先まで60cmぐらい。


ネットで型紙を見つけて、適当に拡大コピーして作ったら、思ったよりも大きくなってしまった。


でも、抱っこするのにちょうどいい感じ。


思いっきりぎゅーっと抱きしめてると、ぽっかりと大きく空いた心の穴が少しだけ埋まるような気がする。

パズルが1ピースだけ埋まるみたいに。

離すとすぐに剥がれ落ちてしまうから、ただ埋まったような気がするだけだけど。



私の心の穴を完全に埋めることができるのは、やっぱり息子じゃないとだめなんだ。



ぬいぐるみを一日に何度も何度も抱きしめる。



いつか息子に会える日が来たら、その時はこのぬいぐるみもいっしょに連れて行こう。

妬み

友人は、大好きなタレントが結婚したから


再起不能だ


立ち直れない


って。



腹が立った。


友人には息子さんがそばにいるのに。


私から見たら、これ以上の幸せはないのに。


これ以上何を望むの?


そんなの贅沢だ。



今が幸せだから、

そんなことで立ち直れないなんて言えるんだろうな。

幸せだから、

本当に立ち直れないっていうのがどういうことなのかわからないんだろうな。




人の幸せを妬んで、そんなひねくれた考え方しかできなくなってしまっている自分にも腹が立つ。

不安

娘にLINEをしたら、たいていはすぐに返事が返ってくる。

たまに、しばらくしてから返ってくる時もあるけど。


この間もなかなか既読にならなくて、わけもなく不安でたまらなくなってきた。


LINEが来たのに気付かないこともあるだろうし、

わかってても手が離せなくて見られないのかも知れないし。


でも、不安はどんどん膨らんでいく。


大丈夫だろうか。

何かあったんじゃないだろうか。


不安で不安でいても立ってもいられなくなって、何度も何度も送ってみる。


やっと来た。


「ごめんごめん、気付かんかったー」


安心したとたん、涙が溢れてしばらくは止まらなかった。




息子と同じように、娘もかけがえのない大切な我が子。


息子が突然あんなことになってしまって、また何か起きるんじゃないかとか、いろんなことが不安でしょうがない。


先のことなんて誰にもわからないのに、だから考えてもしょうがないのに、それでも余計なことばかり考えてしまう。


疲れる。

余計なことでわざわざ自分を疲れさせて。

あきれてしまう。

あほみたいだ。