息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

醜い心

先日母のところに、兄の子供たちが来たらしく、その時のことを母から聞かされた。


兄には、上から女、男、男と三人の子がいる。

姪は27才で、娘のひとつ下。

甥の上の子の方は、去年大学を卒業して臨時教員をやっている。

いつも彼女のところにいて、家にはあまり帰っていないらしい。

下の子の方は、家を出て県外の大学に通っている。


姪のことは普通に聞けるけど、甥たちの話になると、どうしても心が沈んでいく。

聞きたくないと思う。


母はいつものように普通に近況報告として話しているだけ。

でも私は、前とは違って普通に聞くことができない。

辛くてたまらない。

私がこんなふうに思っていることは、母は知らない。

気付きもしない。



甥ふたりの間に息子が入って、それぞれ2才ずつ離れていた。

そんな甥たちのことを、赤ん坊の時から見ていて、それぞれ成長していくのを微笑ましく思っていた。

息子が亡くなるまでは。


今は、そんな気持ちは全くない。

会うのは年に1~2度だけど、甥たちに会うと、そこにいつもいっしょにいたはずの息子がいないことが悲しくて、涙が溢れそうになるのを必死にこらえる。

頑張って踏ん張っていないと泣いてしまう。


もう一生会わなくてもいいとさえ思う。


大学生の甥がピアスをしていたらしく

「会う度に感じが変わってて、大人っぽくなってきてるわ」

と、母はとても嬉しそうに話していた。

その笑顔を見ていると、

5人いた孫のうちの、ひとりがいなくなっただけ。

母にとっては、息子の存在はそんなものなのか

と思った。


また私の心がどんどん醜くなっていく。


いやだいやだ。

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