醜い心
先日母のところに、兄の子供たちが来たらしく、その時のことを母から聞かされた。
兄には、上から女、男、男と三人の子がいる。
姪は27才で、娘のひとつ下。
甥の上の子の方は、去年大学を卒業して臨時教員をやっている。
いつも彼女のところにいて、家にはあまり帰っていないらしい。
下の子の方は、家を出て県外の大学に通っている。
姪のことは普通に聞けるけど、甥たちの話になると、どうしても心が沈んでいく。
聞きたくないと思う。
母はいつものように普通に近況報告として話しているだけ。
でも私は、前とは違って普通に聞くことができない。
辛くてたまらない。
私がこんなふうに思っていることは、母は知らない。
気付きもしない。
甥ふたりの間に息子が入って、それぞれ2才ずつ離れていた。
そんな甥たちのことを、赤ん坊の時から見ていて、それぞれ成長していくのを微笑ましく思っていた。
息子が亡くなるまでは。
今は、そんな気持ちは全くない。
会うのは年に1~2度だけど、甥たちに会うと、そこにいつもいっしょにいたはずの息子がいないことが悲しくて、涙が溢れそうになるのを必死にこらえる。
頑張って踏ん張っていないと泣いてしまう。
もう一生会わなくてもいいとさえ思う。
大学生の甥がピアスをしていたらしく
「会う度に感じが変わってて、大人っぽくなってきてるわ」
と、母はとても嬉しそうに話していた。
その笑顔を見ていると、
5人いた孫のうちの、ひとりがいなくなっただけ。
母にとっては、息子の存在はそんなものなのか
と思った。
また私の心がどんどん醜くなっていく。
いやだいやだ。