役員
マンションの役員に決まってしまった。
立候補がいなかったら公開抽選で決めるのだけど、そろそろ当たるかもとは思っていたが、できるなら今年だけは当たりたくなかった。
なるべく知ってる人には会いたくないと、家から出るだけでもかなりの勇気がいるのに、役員会という集まりに参加するのは苦痛以外のなにものでもない。
任期は2年で、仮に今年は当たらなくても、2年後なら大丈夫なのかと言われればそうとは限らない。
それでも、今年だけは絶対に当たりたくなかった。
メンバーの中には、以前ブログに書いた、息子の同級生の母親で、エレベーターでいっしょになった時に、エレベーターの扉のガラス越しに私のことをじろじろ見ていた人や、これもちょっと前のブログに書いた、娘の同級生の親で、夫婦で私のことを何度も振り返りながら見ていたという人もいる。
同じ階の、おしゃべりで前から嫌いな人もいる。
知ってる人が誰もいなければいいのにと思うけど、そんなわけにはいかない。
実際に私のことを知ってはいなくても、息子のことは知れ渡っているだろうし。
今日、役職を決めるのに集まった。
精神的なものなのか、昨日から胃が痛くてお腹もこわしてて、気分も沈んでて、最悪の状態だったけど、決まった以上はやるしかないし、意を決して行った。
集会室のドアを開けて
「おはようございます」
と挨拶して入った。
よし、ひとつクリア。
名前を呼ばれるたびに、必要以上にみんなの視線を感じた。
本当にそうなのかも知れないし、気のせいかも知れない。
そんなことを気にしてたらやっていけない。
もう開き直るしかない。
同じ階のおしゃべりな人は、ニコニコと話しかけてきた。
息子のことがあって以来、会うのは初めてだった。
私も普通に笑顔で話した。
役職を決めるだけだったから、すぐに終わった。
役員会はひと月に1回だし、全部は出席できないかも知れない。
役職といっても、そんなに大変でもなさそうだ。
それでもやっぱり気が重い、けどやるしかない。
私が必要以上に人目を気にしなくてもいいように、それを克服できるように、息子が与えてくれた試練なんだと、そう思うことにした。