息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

役員

マンションの役員に決まってしまった。

立候補がいなかったら公開抽選で決めるのだけど、そろそろ当たるかもとは思っていたが、できるなら今年だけは当たりたくなかった。

なるべく知ってる人には会いたくないと、家から出るだけでもかなりの勇気がいるのに、役員会という集まりに参加するのは苦痛以外のなにものでもない。

任期は2年で、仮に今年は当たらなくても、2年後なら大丈夫なのかと言われればそうとは限らない。

それでも、今年だけは絶対に当たりたくなかった。


メンバーの中には、以前ブログに書いた、息子の同級生の母親で、エレベーターでいっしょになった時に、エレベーターの扉のガラス越しに私のことをじろじろ見ていた人や、これもちょっと前のブログに書いた、娘の同級生の親で、夫婦で私のことを何度も振り返りながら見ていたという人もいる。

同じ階の、おしゃべりで前から嫌いな人もいる。

知ってる人が誰もいなければいいのにと思うけど、そんなわけにはいかない。

実際に私のことを知ってはいなくても、息子のことは知れ渡っているだろうし。


今日、役職を決めるのに集まった。

精神的なものなのか、昨日から胃が痛くてお腹もこわしてて、気分も沈んでて、最悪の状態だったけど、決まった以上はやるしかないし、意を決して行った。


集会室のドアを開けて

「おはようございます」

と挨拶して入った。

よし、ひとつクリア。

名前を呼ばれるたびに、必要以上にみんなの視線を感じた。

本当にそうなのかも知れないし、気のせいかも知れない。

そんなことを気にしてたらやっていけない。

もう開き直るしかない。

同じ階のおしゃべりな人は、ニコニコと話しかけてきた。

息子のことがあって以来、会うのは初めてだった。

私も普通に笑顔で話した。


役職を決めるだけだったから、すぐに終わった。

役員会はひと月に1回だし、全部は出席できないかも知れない。

役職といっても、そんなに大変でもなさそうだ。

それでもやっぱり気が重い、けどやるしかない。


私が必要以上に人目を気にしなくてもいいように、それを克服できるように、息子が与えてくれた試練なんだと、そう思うことにした。

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