羨む気持ち
買いたい物があったから、ニトリに行った。
たぶん母親と息子であろう親子連れが、何組かいた。
どの親子も、息子が春から新しい場所で新しい生活を始めるのだろうか、それに必要な物を買いに来たという感じだった。
二人でカートを押しながら、あれがいい、こっちがいいと見て回っている。
その何組かの親子連れを見ながら、私は
私にも息子がおるもんね。
優しくて、かっこいい息子がおるんやから。
嘘ちゃうで。
ほんまにおるんやから。
ちゃんとおるんやから。
羨ましくなんかないわ。
と、心の中で繰り返しながら、店内をぐるぐる回っていた。
何を見るでもなく、何を買うでもなく。
見たくもないのに、自然とその親子連ればかりに目がいってしまう。
横目で見ながら、また思う。
私にだって息子がいる・・・
涙が出そうになったから、あわてて店を出た。
運転しながら涙があふれ、家に帰り、息子の写真の前で、わぁーわぁー泣いた。
しばらくして落ち着いてから、何を買うつもりだったのかを思い出した。
何をやってるのか。
なんために行ったのだろう。
悲しくなってきた。