息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

羨む気持ち

買いたい物があったから、ニトリに行った。


たぶん母親と息子であろう親子連れが、何組かいた。

どの親子も、息子が春から新しい場所で新しい生活を始めるのだろうか、それに必要な物を買いに来たという感じだった。

二人でカートを押しながら、あれがいい、こっちがいいと見て回っている。

その何組かの親子連れを見ながら、私は


私にも息子がおるもんね。

優しくて、かっこいい息子がおるんやから。

嘘ちゃうで。

ほんまにおるんやから。

ちゃんとおるんやから。

羨ましくなんかないわ。


と、心の中で繰り返しながら、店内をぐるぐる回っていた。

何を見るでもなく、何を買うでもなく。


見たくもないのに、自然とその親子連ればかりに目がいってしまう。

横目で見ながら、また思う。


私にだって息子がいる・・・


涙が出そうになったから、あわてて店を出た。


運転しながら涙があふれ、家に帰り、息子の写真の前で、わぁーわぁー泣いた。


しばらくして落ち着いてから、何を買うつもりだったのかを思い出した。


何をやってるのか。


なんために行ったのだろう。


悲しくなってきた。

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