忘れてるわけではないけれど
毎日、ご飯やお菓子をお供えする時に
「食べてね」
と息子に呼びかける。
そのあとで、夫にも呼びかけるのを忘れていたことに気付く。
夫に、ごめんなさいと謝る。
なのに、その後も毎回、お供えする時には息子ことしか思わない。
その瞬間、いつも夫のことは忘れてしまう。
なんでだろう。
夫が亡くなったあと、夫には
娘と息子のことをずっと見守っていてね
とお願いしていた。
息子が逝ってしまって、なんで息子を守ってくれなかったのか、なんで私から息子を奪ってしまったのかと、夫を恨んだこともある。
今はそんな気持ちはない。
息子を守れなかったのは私の方だし、息子がこの先、生きてもっと苦しむよりも、今逝ってしまった方が息子にとっては幸せなことだったのだと、そう思える。
夫に、いっしょにいる息子のことを、そしてこっちにいる娘のことを、これからも守っていてほしいと願う。
その反面、息子といっしょにいられる夫が羨ましいとも思う。
私は、息子に会いたくて会いたくてたまらないのに。
その羨む気持ちが、お供えの時に夫を忘れさせているのだろうか。
娘と息子のことをお願いしておきながら、
いいよね、自分は息子といっしょにいられて
と思う自分を、なんてひねくれた嫌なヤツなんだと思う。
決して忘れてなんかはいない、時々は思い出してはいるけれど、息子を亡くした悲しみがあまりにも大きすぎて。
これからは、たまには夫の好きだった物もお供えするのを忘れないようにするから、許してほしい。