息子のお気に入り
来年の干支は申ってことで
ふと思い出したことがある。
12年前の年末に
母がどこかの店で見つけたさるのぬいぐるみ。
母はひとめ見て気に入ったらしく
翌年が申年だからってことで買い
家の下駄箱の上に飾っていた。
毎年大晦日と元日は、母の所に
私の家族と兄の家族が集まることになっていた。
当時9歳だった息子は
大晦日と元日の二日間
なぜかそのぬいぐるみをずっと持って遊んでいた。
もともとぬいぐるみが好きだったとかいうわけでもないのに。
その様子を見ていた母は
「そんなに気に入ったんやったら、あげるから持って帰り」
と。
喜んだ息子は
そのぬいぐるみを家に連れて帰った。
今は、息子の部屋の本棚の上に座っていて
ひとりぼっちで寂しそうだったから
こっちの部屋に連れて来た。
息子が9歳の時からずっと
息子のことを見守ってくれていたこの子を
これからは私が大切にしようと思う。