夏の日
車に乗って信号待ちをしていたら、斜め向こう側に小学校高学年ぐらいの男の子の集団がいるのが見えた。
その中のひとりの、帽子をかぶってリュックを背負って自転車に乗っているその後ろ姿が、10年ぐらい前の息子の姿に似ていた。
ドキッとした。
また気持ちが沈んでいく。
見なきゃよかったな。
そのあとスーパーに行ったら、お母さんが自分の子を呼んでいるのか、名前を叫んでいるのが聞こえた。
息子と同じ名前を。
見ないように背を向けた。
私の息子の名前を呼ぶなよ
って、羨ましいのを通り越してムカついた。
ムカつくのもおかしいけど。
毎日、何度も何度も息子の名前を呼ぶ。
どれだけ呼んでも来てはくれないけど。
夢にさえも出て来てくれない。
どうしているんだろう。
あーーー会いたい。
会いたい。
真っ黒に日焼けして、汗をダラダラかいて、いつも
「あっついな!」
って言っていた。
もう一度見たいな、その姿。