息子といっしょに
今日、どうしても買わなければならない物があったが、お盆休みの最中、どこも家族連れでいっぱいだから行きたくなかった。
考えた末、9時開店のスーパーの開店直後なら、たぶん人も多くないだろうとそこに行くことにした。
それも、家の近くではなく少し離れた所へ。
買い物しながら、なぜかふと陸上のウサイン・ボルトのことが浮かんできた。
オリンピックの陸上は、もう終わったのだろうか。
息子は陸上をやっていたから、オリンピックでの陸上競技は息子とふたりでよく見ていた。
息子は、ボルトと同じ100mが専門だった。
だから、オリンピックそのものを見ないようにはしていたけれど、陸上は絶対に見たくなかった。
なのに、なんでボルトのことが浮かんできたのだろう。
家に帰ってテレビをつけてみたら、まさに陸上男子100mの決勝が始まるところだった。
これは息子が見たいから、私にいっしょに見ようという合図なのかも知れないと感じた。
選手がスタートラインについた瞬間、息子の大会を見に行った時のことが思い出され、涙が溢れてきた。
気配は何も感じなかったけど、息子もそばでいっしょに見ていただろう。
9秒81やって
それも余裕やで
すごいな
いつもふたりで興奮してワイワイ言いながら見てたのに。
そんなふうに言い合うこともできない。
寂しい。
でも、見なきゃよかったとは思わなかった。
私は、息子の走る姿が見たい。
ボルトよりも、息子が走るのを見たかった。
こんなことになるのなら、息子の走る姿をもっともっとたくさん胸に焼き付けておけばよかった。