息子に会いたい

21歳の息子に先立たれてしまった母

母への怒り

息子が亡くなった時、私はよく母に話を聞いてもらっていた。

泣きながら話す私の話を、母もいっしょに泣きながら聞いてくれていた。


一週間で仕事に復帰した私に、母は

「立ち直ってくれてよかった」

と言い、その頃から

「いつまでも泣いててもしょうがない」

「いい加減早く忘れなさい」

と、泣く私に怒るかのように言うようになった。


それから、母とは息子の話をするのはやめた。

母に会った時に、息子の話になりそうな時は話をそらすようにした。

母の前で泣くこともなくなった。


できれば母とは顔を合わせたくないと思っているけど、月に1回ぐらいの割合で会っている。

私の方から誘うことはない。


今週、母に買い物に付き合ってほしいと頼まれ、会うことになった。

母に余計なことを言われたくないという思いから、いっしょにいても私の方から話しかけることはほとんどない。

いつも聞き役に徹している。

その日もいつものように母の話を聞いていたら、亡くなった父の話になった。

そのあと、亡くなった夫の話になり、私が避ける間もなく息子の話になった。

母の口から息子の名前が出てきた時、思わず私の目から涙があふれてきた。

その私の姿を見た母は、


「世の中で自分が一番不幸やと思ったらあかんで!」


と言った。


私は息子を亡くして、自分が不幸だと感じたことはある。

でも、この世の中で自分が一番不幸なんだと思ったことは一度もないし、それを口に出したこともない。

それなのに、なんで

「世の中で自分が一番不幸やと思ったらあかん」

なんてことを、言われなければならないのか。


自分が一番不幸だと思ったから、涙を流したのではない。

息子を亡くして悲しいからだ。



今は息子への思いが強すぎて、夫の話をしても泣くことはなくなったけれど、その前は、母と夫の話をする時は泣いてしまうことが多かった。

その時は母は、今みたいに、「いつまでも泣くな」「いい加減忘れろ」なんてことは言わず、むしろ母も涙ぐみながら聞いていた。

夫が亡くなって5年以上経っていたのに。


やはり、自分も経験した夫を亡くす悲しみはわかっても、経験したことのない子を亡くすという悲しみは理解できないということなのだろうか。


娘にこのことを話したら

「おばあちゃんのことが年々わからなくなってくるねん。

なんで実の親やのに、そんな冷たいことが言えるのか理解できん」

と。


娘の言葉に、母への怒りが少しおさまり、気持ちが楽になった。

また娘に救われた。

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