10ヶ月
息子を亡くしてから10ヶ月。
「母さん、呼んだ?」
と、息子が来るような気がして、息子の名前を呼んでみる。
息子が亡くなったのが、まだ信じられないわけじゃない。
息子はもういない。
ちゃんとわかっている。
それでも名前を呼んでみる。
息子は来ない。
気配も感じない。
もしかしたら見えないだけで、呼ぶ度にそばに来てくれているのかも知れない。
そうだとしたら、それに気付けていないことに悲しくなるけど。
最近、ひとりごとを言うことが多くなった。
ひとりでテレビを見ていて、おもしろい時には声を出して笑う。
私はひとりじゃない。
私の心に息子がいる。
だから、息子に話しかける。
息子といっしょに笑う。
いつも、いっしょに。
息子といっしょに。
でもね、やっぱり会いたい。
会いたくてたまらない。
あの日、何も気付かなくてごめんね。
ごめんなさい。
会いたい。