変わっていってる
今日もまた救急車とすれ違う。
手が震えそうになって、ハンドルを握る手に力が入る。
泣かないように歯を食いしばる。
警察署の横を通る。
心がざわざわしてくる。
あの日のことがよみがえる。
また歯を食いしばり、手を握りしめる。
いつも自転車で息子が通っていた道。
息子が行っていた美容院。
泣きそうになるのをこらえる。
帰宅して、息子の写真に
「ただいま」
と言ったとたん、こらえていたものが溢れて泣いてしまう。
まだ辛い。
だんだんと慣れていって、いつかは辛くなるのかも知れないけど、ずっと変わらないような気もする。
それでもいいと思える。
息子を亡くした悲しみは消えることはない。
泣くのも悲しいのも、今は私の日常生活中では当たり前のこととなってしまっている。
常に心の中には息子がいるけれど、朝から晩まで一日中泣いているわけではない。
ちょっと前までは、こんな毎日がいつまで続くのか、辛くてたまらないと思っていた。
今は少し違う。
なんだろう、辛いのはしょうがないというあきらめ?
やっばり慣れなのか。
時々は、自分を責めて後悔して苦しくて、寂しくて会いたくてたまらなくて、どうしようもなく落ちてしまって号泣することもある。
涙は毎日流し続けている。
それでも、少しだけでも前に進めているのかなと思う。
進めているのとは違うのかも知れない。
自分でもよくわからないけど、なんとなく変わっていっている、それがいいことなのかどうかもわからないけど、そういうことをこの頃感じる。