空へ
お天気のいい日はベランダに洗濯物を干す。
そんなどこの家にでも見られる
日常の当たり前の風景がうちにはない。
息子が飛び降りた場所。
怖くて近寄れない。
息子がどんな思いであの柵を乗り越えたのか
その気持ちを考えるとたまらなくなる。
家の中から窓越しに見ながら思う。
息子は、あの柵を乗り越え空に飛んで行った。
その姿を、背中に羽が生えた息子が
空に飛んで行く姿を想像する。
苦しみから開放されて心が軽くなり
後ろを振り向くこともなく
まっすぐ空に向かって飛んで行った。
私も飛んで行きたい。
息子のもとへ。